1月にスイスのジュネーブで開催されたSIHH(ジュネーブ・サロン)を取材したジャーナリストたちがもっとも優れた時計をノミネート。岡村佳代が極私的に選んだ1本はこれだ!
高度な機構とウォッチメイキングに対する情熱を内包しながら、外見はごくシンプルでさりげない。そんなバランスにランゲらしさが漂う。センターセコンドのキレッキレの動きは気持ちよく、その様を見るのも愉しい。YGケース×アリゲーターストラップ、手巻き、40.5㎜径、世界限定27本。¥5,340,000(予価/9月以降発売予定)〈A. LANGE & SÖHNE/A.ランゲ&ゾーネ〉
A.LANGE & SÖHNE
A.ランゲ&ゾーネ
「1815“ウォルター・ランゲへのオマージュ”」
毎年、SIHHに取材に行く楽しみのひとつは、A.ランゲ&ゾーネを再興したウォルター・ランゲさんのお元気な姿を拝見することでした。しかし昨年のSIHHで、例年通り「ランゲのおじいちゃんはお元気ですか?」と尋ねると、恐れていた答えが返ってきて愕然としました。それから1年。生前、「スタート・ストップ機能付きステップ運針式センターセコンド」を備える時計を甦らせたいと願っていたというウォルター氏。曽祖父が1867年に発明し、祖父が実用化に成功させたという、ファミリーヒストリーが息づいている機構なだけに、ウォルター氏にとっては特別な思い入れがあったものだそう。その遺志を、それこそブランド総出で結実させて今年のSIHHでの発表を実現させました。東西ドイツの分断によって休眠せざるをえなかった悲劇を乗り越え、それを伝説に変えたランゲのおじいちゃん。私なりの“ウォルター・ランゲへのオマージュ”として、この1本を選ばせていただきました。
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